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隣人のひとり言

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2004年 10月 07日

10/7 薬の味わい


「博士ぇー、お久しぶりでっす!」

「おおっ、ジャスミンくん、元気だったかい?」

「・・・ハドソンですよ。久々すぎてかすりもしてないですね」

「ハドソンくんじゃった、そうじゃったそうじゃった。で、今日はどうしたんじゃ?」

「またまた質問をいただいたんですよぉー。え〜、匿名希望の10才の男の子です」

「ふむ、それにしても何故ここに質問してくる人たちは子供ばかりなのじゃ?今の大人は探求心や好奇心が足りないんじゃないか。けしからん!」

「いえ、わたしに怒られても・・・」

「ハドソンくん、君は世の中のいろんなものに対して疑問を持つようにしとるのか?」

「はあ、まあ、それなりにはしてるつもりですが・・・」

「つもりじゃ足りんぞぉ−!」

「は、はいっ。あ、今日の質問はわたしも長年疑問に思っていた事のひとつです」

「うむ、ではかかってきなさい」

「はい、えーっと、ずばり何故薬は苦いのですか?という質問です。では博士、いつものように、ずずずばりとお答えをお願いします」

「うむ、今日は特別、答えではなくヒントをあげよう」

「いえ、答えでいいです」

「いいや、たまには自分で答えを導きだしてみたまえ、ハドソンくん」

「はあ・・・」

「よいか、ヒントはじゃなあ、周富徳の料理もモンゴル人にとっては糞ほどまずい。と、いう事じゃ。わかるかのぉ?」

「さっぱりです。では、答えを」

「こりゃハドソン。探求心はどこへ行った?諦めるのが早過ぎるぞ」

「ううん、周富徳の料理がまずい。つまり、モンゴルの人たちの口に合わなかったという事ですよね」

「その通りじゃ。では、どうして口に合わないのかのぉ?」

「それは、食べ慣れてないからじゃないですか?中華料理なんて、モンゴルの人々が食べているとは思えませんし」

「そう、まさにその通りじゃ!人間には好みと慣れという二つの要素があり、それらが我々が感じる味を左右しておるのじゃ。ということは、つまりぃ〜・・・」

「あ、そうか!薬は慣れていない味だからまずく感じるという事ですね?」

「うむ、それだと50点くらいじゃのぉ。では、何故食べ慣れていないものが薬になるのじゃ?」

「え、あ、う〜ん、そういわれれば・・・。なんででしょうかね?」

「元来、人間というのは生き残れるようにできているのじゃよ。この世に存在する全ての食の要素を満遍なくとっていれば、病気になどきっとならなかったのじゃ。それが昨今の偏った食生活、リズムの乱れなど、人間起因の習慣でバランスが崩れてきた」

「確かに。わたしも忙しいばっかりにいつもマクドナルドのコンボセットにお世話になっております」

「うむ。そういったバランスのずれから、口にする食材と口にしない食材がはっきりとしてきたのじゃよ。言い換えると、口にする栄養素と口にしない栄養素、という事じゃ。結果、栄養素不足で病気になる場合、普段摂取していない栄養素を与える必要がある。普段摂取していない栄養素、つまり食材は、我々は『まずい』と感じるから、必然的に薬と呼ばれるものは、どうしても味が『まずく』なってしまうのじゃ」

「な、なあ〜るほどぉ。普段手にできない食にこそ不足してる栄養素が隠れていて、それを普段食べないからこそ病気になり、食べると慣れてないためにまずいと感じてしまう、そういう事ですね?」

「その通りじゃあ。勉強になったかのぉ?」

「はい。そして、この仮説にはいつものように根拠は?」

「まったくない」

「それでも?」

「自信だけはあるぞい。それが博士流じゃ」

「すっばらしいです!一生ついていきます。たぶんもうそう長くはない一生でしょうが」

「お・・おいっ!!」

by quasi-world | 2004-10-07 19:42 | 博士とハドソン


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