2004年 07月 23日
よく「本をカバーで判断するな!」という言葉を聞きますが、じゃあいったい何で判断したらいいんだ、って話ですよね。 僕はよく本を買う。 そしてだいたいいつもカバー、タイトル、帯を見て単純に「おもしろそう」と思ったものを買うようにしている。作者が誰であろうとあまり関係はない。 ただ、この方法で選ぶと、平凡なタイトルの無名の名作に決して出会わない。 それが欠点だ。 カバーなどから判断するということは、ある意味、他人の評価を基にするってことですからね。 でもこればっかりはねぇ、本ですからね。その場でちらっと中身も読みますが、その価値なんてやっぱり読み始めて読み終わらないとわからないでしょ? だから毎回賭けみたいなもんですよ。帯に載っているなんとか大賞受賞とか、他の作家のコメントとかを読んで、「あんたがそこまで言うなら、おら買ってみてもよかばい。」なーんて自分を納得させたりする。 賭けという意味で言えば、最近の僕の勝率は結構いい。 つまりいい本によく巡り会っている。 今読んでいるのもそんな一冊で、伊坂幸太郎の「重力ピエロ」という本だ。 ひとつの傾向として、僕が気に入る本というのは、その全体像としての内容よりも、頭の柔らかい作者だからこそ出てきたであろう台詞の言い回しが多く含まれるというポイントがある。 前回ここでも書いた乙一という作者にしかり、この伊坂さんにしかり、思わず首をぶんぶん縦に振って「うんうん!」と頷きたくなる台詞が多々ある。 例えばこんなの、 『フェルマーの最終定理にしろ、ラスコーの壁画にしろ、人はどんなものでも意味を見つけようとして、時間を無駄にするんだ』 ー本当にその通りだ。 僕は常々「人生に意味なんてない」と主張し続けてきた。 みんな意味を見つけようとすることに必死で、なんの為に意味を探してるのかを考えない。 結局、分からないことがあると不安になるのがヒトってもんで、つまりのところそれは、「分からない事なんかあるわけない」と精神の根底で信じているからである。 でも、多くの場合そういうヒトが掴まされるのは「納得できうる説明」に過ぎず、真実とはほど遠かったりする。 意味なんて分からなくてもいいじゃないですか。 仕組みが分からなくてもみんなパソコンを使うし、インターネットで買い物もする。 それと同じですよ。 眼の前にあることをそのまま見て、素直に感想を言えばいいだけの話です。 人生がツライなら、どうしたら楽しくなるのかだけを考えて、何故辛い目に合うのかなんて後ろ向きに神様を呪ってもきっと誰も振り返らない。 抽象画を見て、作者はどんな意味を込めて、何を伝えたくてこの絵を描いたのだろうと考えるのは無謀。 きちんと伝えたい意味があるんなら、そんなもの始めから絵なんて面倒くさい方法とらずに文章を書きますよ。そうでしょ?? 絵にしたのは言葉にならない言葉があるから。 そしてそれはきっと正解がひとつだけなんて寂しいものではなくて、見る人がそれぞれ勝手に決めて、勝手に納得すればいいだけの話なんですよ。 人生に意味があろうとなかろうと、どうせ80年も生きれば皆死んでしまう。 だったら楽しむだけ楽しんで、息をひきとる瞬間に「あー、楽しかった」と思い、自分で自分の人生に意味を与えてやればいい。そう思う今日この頃でした。
by quasi-world
| 2004-07-23 23:47
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